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2022.06.22

【家づくりで後悔しないために】② 断熱のよくある失敗編

【家づくりで後悔しないために】② 断熱のよくある失敗編

家づくりでは誰しもが「後悔したくない!」と思うはずですよね。
その思いに応えるために、様々なテーマをできるだけやさしく、
誰にでもわかるように解説します。

省エネの法律

コラムでお話してきた断熱性能ですが、
この数値は、

 

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)

 

という法律の適否判定に用いられます。

 

この法律の目的は以下のように示されています。

 

 


 

この法律は、社会経済情勢の変化に伴い建築物におけるエネルギーの消費量が著し
く増加していることに鑑み、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する基本的な方針の
策定について定めるとともに、一定規模以上の建築物の建築物エネルギー消費性能基準へ
の適合性を確保するための措置、建築物エネルギー消費性能向上計画の認定その他の措置
を講ずることにより、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和五十四年法律第四
十九号)と相まって、建築物のエネルギー消費性能の向上を図り、もって国民経済の健全
な発展と国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。

 


 

 

いやあ、それにしてもなぜこうも分かり難い文章にするんでしょうね(笑)

 

簡単にまとめると、

 

建物内でガスや電気などのエネルギーを効率よく使うための法律

 

と言った感じでしょうか。

 

実は、この法律のもとになっている法律があります。

 

それは、

 

「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」

 

という、オイルショックを契機に1979年に制定されたものです。

 

ここでは工場や事業所のエネルギー管理や自動車の燃費、
建物の省エネ、電気機器の省電力化など、
様々な面での省エネ対策が定められています。

 

エネルギーの枯渇や二酸化炭素の排出という、
全世界が抱える課題に対する施策ですね。

 

建築物省エネ法というのは、
これらの中の建物の分野を抜き出したもの。

 

限りあるエネルギーを大切に効率よく使う

 

ということが根底にあるのです。

断熱性能が高ければ省エネ住宅なのか?

一般家庭のエネルギー消費は、
冷暖房が約30%を占めていると言われています。

 

残りの約70%は、
照明や家電や調理機器や給湯など。

 

つまり、家の断熱性能が省エネに影響するのは、
全体の30%程度だということ。

 

思ったより小さくないですか?

 

実は建築物省エネ法では断熱性能だけでなく、
家全体で消費されるエネルギー量についても基準が設けられています。

 

なので、エアコンや給湯機器や照明など設備機器は、
消費エネルギーの小さいものを採用し、
エネルギー消費量を抑える工夫も必要となるのです。

 

また、この消費するエネルギーを自家発電によって補った場合は、
エネルギー削減量として差し引かれるため、
太陽光発電システムを搭載した住宅は、
省エネ住宅としてのレベルが高まるということにもなります。

 

 

「断熱」=「省エネ」ではない?

さて、断熱性能が省エネに影響する割合は、
冷暖房にあたる約30%と話しましたが、
そうなると断熱は省エネのためなのかと疑問がわきませんか?

 

省エネというのは、
あくまでエネルギーのやりくりのことなので、
家電や給湯器などの工夫や、
太陽光発電の活用などの影響の方が大きいですよね。

 

では何のために断熱が必要なのか。

 

それは、

 

家族の健康を守るため

 

だと考えています。

 

家の中の温度差によって生じるヒートショック。

 

このヒートショックが原因で亡くなる方は、
交通事故で亡くなる方の3倍以上という統計もあります。

 

そもそも断熱性能の基準は、
家の中全体を10℃以上に保つという理由で定められています。

 

つまり家全体の温熱環境を維持して健康を守ることが断熱の目的であり、
その結果として省エネにもつながるのだと捉える必要があると思います。

 

なので、省エネで断熱を考えるのではなく、
室内温度に目を向けて断熱を考えることが重要ではないでしょうか。