夏を快適に過ごす方法!日射遮蔽について
安井建設(株) ママ一級建築士の伊藤由子です!
今回は、パッシブデザインの要素の一つでもある「日射遮蔽」のお話しです。今までに、夏期に冷房の温度設定を低くしても、効果がない・・・と思われた方は必見です!
2024.05.21
夏期の日射遮蔽について
日射遮蔽 って何?
と、思われた方も多いと思います。家づくりや建築以外では耳慣れない言葉です。
日射遮蔽とは、特に夏期における窓から入ってくる太陽熱を遮ることを言います。
6月の現在でも30℃を超える日もあり、7.8月ですと38℃以上になる日も増えてきました。
夏期に直射日光や太陽熱が室内に入らないようしっかりと 外部で 遮ることで、
いつもより冷房の設定温度を高くしても快適性が生まれ、
冷房エネルギーや冷房費の削減ができます。
夏場、エアコンをかけているのにもかかわらず、暑いと思われる方は必見です!
南側の窓の上部に庇や軒を出す
よく日の当たる南側の窓の上部に、庇や軒を付けることは日射遮蔽するに当たってとても有効です。
しかし、あまり深い庇や軒にしてしまいますと、
冬期の太陽高度が低い時期に太陽熱が入らなくなってしまいます。
ですので、そこは日照シミュレーションをして適切な長さを検討する必要があります。
外部の日射遮蔽部材について
日射遮蔽をするのであれば、
出来れば、室内に太陽熱が入る手前の外部で日射遮蔽をすることが有効です!
まずは、外部の日射遮蔽部材について紹介します。
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ルーバー
日当たりのよい南側に付けるのであれば、
夏期の昼間の太陽高度は、最も高い位置にありますので水平ルーバーが効果的と言われています。
こちらの写真のお宅では、オスモ ヴァレーマという商品を採用していただきました。
外部の水平ルーバーブラインドです。
太陽の高度に合わせて角度を調節できますので、とても便利です。
また、冬場の日射取得したいときには、全部開放することも可能です。
電動リモコンにより、シーン別に開け閉めのパターン設定も可能です。
こちらのお宅では、シャッターボックスも隠せるようにすっきりデザインしました。
ブラインドの羽やボックスの色々種類があります。
西日を遮る為のルーバーであれば、
太陽高度が下がってきていますので、垂直ルーバーが効果的と言われています。
木製ルーバーですと、塗装をしてもどうしても経年劣化が生じます。
経年劣化を風合いとして楽しめる方にはオススメですが、
メンテナンスが不得意な方にはオススメしておりません。
少し高価にはなりますが、メンテンナンス要らずのアルミルーバーをオススメいたします。
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シェード
こちらは、外部につけるロールスクリーンのようなものです。
色も豊富で外観に合わせて選ぶことができます。
ルーバーと同じくらいの効果があります。
すだれ
古くから日本にある日射遮蔽部材です。
外観デザインから言いますと、和風のお宅にはピッタリだと思いますが、
モダンなお宅やスタイリッシュなお宅とのデザインの相性はあまりよくないと思います。
シャッター ・ 雨戸
こちらも日本では流通しているものです。
近年、災害が増えてきていますので、採用される方も増えてきました。
ただ、夏場、シャッターや雨戸を閉めっぱなしですと、家の中が真っ暗になってしまいます・・・。
外は晴れていい天気なのに、日射遮蔽のために室内が真っ暗な状態って、なんかイヤですね。
そこで、近年こういった、通風や採光が取れるシャッターや雨戸の商品も出てきました。
内部の日射遮蔽部材について
外部の日射遮蔽部材より、効果が低いですが、
有無を考えると内部でも日射遮蔽ができるのであれば、してあげた方がより快適性が生まれます。
外部と内部でダブルで日射遮蔽できれば、さらに効果は高まります。
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ハニカムブラインド
断面がハチの巣構造になっているシェードになります。
1重のシングルタイプのほかに、2重のダブルタイプもあります。
ダブルタイプの方が日射遮蔽としても冬場の窓からの冷気を遮ることにも有効です。
そして、冬場の冷気を遮ることを考えますと、
両サイドにレールのついたものを採用されると夏期も冬期にもとても有効です。
障子
こちらも日本に古くからあるものです。
窓面をきちんと覆うので、日射遮蔽効果はあります。
ただ、こちらも和室や和風のお宅には相性ピッタリですが、
その他のお宅ですと内観デザイン上、採用が難しい場合もあるかもしれません。
カーテン
こちらはどこのご家庭にもある一般的なものになります。
ただ、気を付けてほしいことが一点!
カーテンの長さや大きさです。
窓を覆うように、カーテンを取り付けるということです。
出来れば、掃き出し窓ですと、
カーテンボックスを付けて、天井から床に付くまでピッチリ窓を覆う と効果バッチリ!です。
ガラスの種類で日射遮蔽が出来る?
複層ガラスの場合、単板ガラスが2枚。
ガラスとガラスの間に中空層があります。
その中空層の中にブラインドが入った商品もあります。
ブラインドにホコリが溜まることもなく、お掃除も楽ですし、
お風呂等ブラインドが取り付けることができない場所でも採用することが可能です。
最近では、断熱性能の高い窓として、Low-E複層ガラスが主流になってきました。
Low-E複層ガラスにも 日射遮蔽型 と 日射取得型 があります。
南北東西方向すべて 日射遮蔽型 を採用しますと外部と内部の熱の出入りは少なくなりますが、
冬期におけるポカポカした太陽熱の日射取得に期待出来なくなりますので、
冬期の太陽熱が4~5時間程度期待できそうな南側の開口部には
日射取得型のLow-E複層サッシを採用することをお勧めしています。
東西北側に関しては、通風や昼光利用の窓と考えて、極力断熱性を高める為に、
日射遮蔽型のLow-E複層ガラスを採用します。
予算があれば、東西北側に日射遮蔽型のLow-Eトリプルガラスを用いてあげるとさらに効果的です。
まとめ
様々な日射遮蔽の方法をお伝えしてきました。
ですが、最終的には、ηAC(イーターエーシ)値という数値で判断していきます。
この値が小さければ小さいほど夏期の日射遮蔽が出来ていると言えます。
窓以外から日射の影響で熱伝導により侵入する熱もこの数値には影響しますが、
目安としては、この数値を1未満にするとしっかり日射遮蔽が行われていることになります。
いくら断熱性能のUA値が小さくて断熱性能が良くても、
このηAC値も小さくなるような設計をしないと、
夏期に太陽熱が家の中に入り込み、熱が保温される状態になってしまうのです。
そして、日射遮蔽部材を取り付けただけでは、効果は出ません。
きちんと 日射遮蔽部材を活かした暮らし方を実践することが1番大切なのです!
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