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家づくりコラム

ママ一級建築士が語る 扶桑町モデルハウス

Home&nicoで住宅営業設計を担当している一級建築士の伊藤由子です。

私自身も子育てを経験している母として、「子育て中も、その先の暮らしも心地よい家」を大切にしながら設計しています。

今回は、扶桑町モデルハウスを設計する際に大切にしたことや、一つひとつの設計に込めた思いをご紹介します。

これから家づくりをお考えの皆さまに、少しでも参考になれば幸いです。

2026.07.17

コンセプトは「子育て中も、その先も暮らしやすい住まい」

今回のモデルハウスは、ご夫婦とお子様2人の4人家族を想定して設計しました。

子育て中はもちろん、お子様が独立された後も、ご夫婦お二人で快適に暮らし続けられる住まい。ライフステージが変わっても心地よく暮らせる、そんな将来まで見据えた住まいを目指しています。

立地は扶桑駅から徒歩約9分。

電車通勤・通学にも便利で、敷地内には駐車スペースも1台分確保しています。

コンパクトだからこそ、広がりを感じる設計

敷地面積は約40坪、南側間口は約7m。決して広い敷地ではなく、建物幅も約5.46mが上限の土地です。
延床面積は約25坪というコンパクトな住まいです。

このモデルハウスで最も悩んだのは、建物の配置でした。

限られた敷地でも圧迫感を感じさせず、庭とのつながりを大切にしたい。
LDKから道路を見るのではなく、四季を感じられる庭へ視線が抜ける空間にしたい。その思いを軸にプランを考えました。

そこで、下屋部分を活かして天井高さに変化をつけ、高いところでは3.5mを超える開放感を確保しています。16帖というコンパクトなLDKでも、実際の広さ以上のゆとりを感じられる空間になりました。

また、平屋の暮らしやすさと2階建ての機能性を両立した「準平屋」という考え方を取り入れています。

街並みに映える外観デザイン

南東角地という立地だからこそ、街角から見たときの建物の印象にもこだわりました。

玄関や大きな掃き出し窓が正面に主張するのではなく、建物全体のフォルムで魅せるデザインを意識しています。

庇を支える袖壁を斜めにデザインし、落ち着いた色合いでまとめることで、シンプルでありながら上質な外観に仕上げました。

外壁はガルバリウム鋼板の横葺きをベースに、一部、塗り壁を採用。西面・北面はガルバリウム鋼板の四山を用いることでコストバランスにも配慮し、デザインにメリハリを持たせています。

デザインと性能を両立した窓計画

窓は東・西・北面にLIXIL「TW」のトリプルガラスを採用しました。

アルミと樹脂を組み合わせた複合サッシですが、高い断熱性能を確保しながらフレームを細くできるため、景色を美しく切り取り、室内もすっきりとした印象になります。

一方、南側の大きな窓には、あえてLIXIL「サーモスⅡ-H」のペアガラスを採用しています。

一般的にはトリプルガラスの方が断熱性能は高くなります。しかしその反面、冬場の暖かな日射熱も室内へ取り込みにくくなります。

そこでこの家では、冬の太陽の熱を積極的に取り込み、昼間はできるだけ暖房に頼らなくても快適に過ごせるよう、南面のみペアガラスとしました。

扶桑町モデルハウスは、断熱等級6の建物にはなりますが、数値だけを追い求めるのではなく、「実際に住んだときの心地よさ」を優先した設計です。

また、この地域は道路が真南に対して約45度東へ振れている敷地が多く見られます。そのため、太陽の入り方までシミュレーションしながら、冬の日差しを十分に取り込める窓の大きさと配置を計画しました。

キッチン前の床付け縦すべり出し窓とFIX窓は、外観のアクセントになるだけでなく、室内に奥行きと抜け感を生み出す、お気に入りの窓の一つです。

実はお気に入りの寝室の窓

寝室には、幅570mm、高さ2,200mmの縦長窓を1か所だけ設けています。

一見すると窓が少ないように感じるかもしれませんが、縦すべり出し窓を互い違いに開けられるよう計画しているため、1か所でもしっかりと風が通り、十分な採光も確保できます。

さらに東側からは窓の存在がほとんど分からず、プライバシーとデザイン性を両立しています。

派手な工夫ではありませんが、こうした細かな積み重ねが、住み心地の良い住まいにつながると考えています。

家族が自然と集まるLDK

キッチンにはLIXIL最高級グレードの「リシェル」を採用しました。

実は、このキッチンの色合いから建物全体のインテリアイメージを決めたと言っても過言ではありません。

玄関からキッチンを通ってリビングへ向かう動線だからこそ、生活感が出やすいキッチンの裏側が見えないレイアウトとしています。

また、掃き出し窓の上にはFIX窓を設け、そのさらに上部にはカーテンボックスと間接照明を組み合わせました。

夜になると、カーテンを伝う柔らかな光がLDK全体を優しく照らし、昼間とは違った落ち着きのある空間を演出してくれます。

家具の配置も、このモデルハウスの特徴です。 あえてリビングとダイニングを分け過ぎず、その中間に家具を配置することで、空間全体がゆるやかにつながり、家族それぞれが好きな場所で過ごしながらも、お互いの気配を自然と感じられるLDKを目指しました。

また、このモデルハウスでは、寝室や水回りを除き、あえて室内建具(ドア)を設けていません。

一般的には部屋を区切ることで冷暖房効率を高めますが、この住まいは高い断熱・気密性能を備えているため、建具で細かく仕切らなくても室内の温度差が少なく、一年を通して快適に過ごせるよう計画しています。

建具を減らすことで、家のどこにいても視線や空気がゆるやかにつながり、実際の面積以上の広がりを感じられるのも、この住まいの魅力です。

家族それぞれが思い思いの場所で過ごしながらも、お互いの気配を自然と感じられる、そんな住まいを目指しました。

将来まで見据えた2階

2階は約9帖の多目的スペースとウォークインクローゼットというシンプルな構成です。

お子様が小さいうちは広々と使い、将来は間仕切りを設けて個室へ変更するなど、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できます。

また、LDK上部には約6帖分の小屋裏収納を設けました。

季節用品や思い出の品などをたっぷり収納でき、生活空間を広く保つことができます。

家中が快適になる空気の流れ

LDKの一部は吹抜けとなっており、1階と2階がゆるやかにつながっています。

吹抜けを利用することで、2階のエアコンの空気も1階まで届きやすくなり、家全体の温度ムラを抑えることができます。

そのため、1階と2階にそれぞれ1台ずつ、合計2台のエアコンで、夏は涼しく、冬は暖かく暮らせる住まいを計画しました。

また、水回りは北側に集約しています。

ランドリースペースとしても使える洗面脱衣室と1帖のトイレをコンパクトにまとめながらも、寝室や階段からアクセスしやすい位置に配置することで、日常生活はもちろん、夜間でも使いやすい動線を実現しました。

最後に

家づくりは、図面や性能だけでは語れません。

敷地条件をどう読み解くか。光や風をどう取り込み、どんな景色を毎日眺めながら暮らすのか。その一つひとつの選択には理由があり、その積み重ねが「心地よい暮らし」につながると私は考えています。

この扶桑町モデルハウスには、コンパクトな住まいだからこそ実現できる工夫や、毎日の暮らしを豊かにする設計のアイデアを数多く詰め込みました。

図面や写真だけでは伝わらない空間の広がりや光の入り方、そして実際に住んだときの心地よさを、ぜひモデルハウスで体感していただければ嬉しく思います。

皆さまの家づくりの参考になることを願っています。

そして、お会いできる日を心より楽しみにしております。

伊藤 由子|ママ一級建築士

Home&nicoライフデザイン事業部に所属。
今までに100棟以上の住宅設計に従事。

【保有資格】
一級建築士/一級建築施工管理技士/インテリアコーディネーター/省エネマイスター/ライティングコーディネーター 

【プロフィール】
岐阜県岐阜市出身。3児のママ。
大学では家政学部住居学科卒業後、建設会社、大手ハウスメーカーを経て、結婚を機に2006年にHome&nicoに入社。
現在では、3人の子育てをしながら、営業設計として家づくりに携わっています。
毎日の家事や子育ての中で感じる「リアルな暮らしやすさ」を大切にしながら、 家事動線・収納・洗濯・子育て・将来の暮らしまで考えた間取り提案を得意としています。
資格や知識だけではなく、 実際に暮らしているからこそ分かる“ちょうどいい住まい”を、お客様と一緒に考えていきたいと思っています。

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